Screw from shelf

#1  SATURN / MOHN (WOLFGANG VOIGT & JORG BURGER) (SASCHIENNE MIX)

 

ターンテーブルには細長い2つのボタンが付いている。45rpmと33rpmだ。これらはターンテーブルの1分間の回転数を表していて、そのボタンで回転数の切替ができる。レコードにはどちらかの回転数が定められているが、45rpm盤をあえて33rpmで再生することでピッチが極度に下がり、ビートダウンされたトラックに変化させる手法を"スクリュー"と呼ぶ。DJ Screwが生み出したと言われている。

 

私は45rpm盤を33rpmのボタンへ切り替えたとき、曲の表情がガラッと変わる様にどっぷりと魅かれている。

明るい曲も深く暗い世界へ沈んでいき、遅くなった時間軸の中で一音一音がより太く気持ち良く聴こえる。これはターンテーブルの魔法と思っている。

しかしながら闇雲にスクリューすれば格好良くなるかといったらそうでも無い。単に遅くなっただけのツマラナイ変化も沢山ある。スクリューをしてみて立派な別人へ生まれ変わる盤はそこまで多くない。それらを家のレコード棚から掘り当てる作業はとてもワクワクするし、今日のステイホームの暇潰しにオススメ。

私がスクリューを掘ってきた中でもお気に入りの盤を紹介する。ここはそういう場所です。

SATURN / MOHN (WOLFGANG VOIGT & JORG BURGER) (SASCHIENNE MIX)

 

Kompaktからリリース。レーベル創設者の一人Wolfgang VoigtによるユニットMohnによる西洋ディスコポップ感溢れるテクノトラック。この盤をスクリューする。

 

元BPM120

→スクリューBPM89

 

イントロ、ギターのストロークがドローンのようにゆったりと重たくなり、そこにボコーダーの語り、およそ1分ちょいのビートレスドローンイントロ。

Wolfgang Voigtらしい暗さがスクリューで感じ取れる。

その後ドローンが鳴り止み5秒ほどの静寂、突然ズシンと重く図太いドラムマシンの攻撃、トオォンッと響くスネア。そこに原曲からは想像もつかないくらいの渋重なシンセベースが後追いで覆い被さる。このヘヴィーな構成にプログレ感を纏ったエレキギターが随所で鳴り響き浮遊感と哀愁を届けてくれる。

Daniele Baldelliが生み出したコズミックを基盤にDJ Harveyがその文化を再考しプレイしたかのような世界が広がる。重たくスローなディスコがとても心地良い時間と高揚感を沸々と与えてくれる。

スローモーション。夕暮のビーチ。気怠い夏。

adak7(garden)

 

東京都出身。

テクノをスクリューで歪ませ、ドローンやフィールドレコーディングなどをコラージュする実験的な音楽精神を軸とし、ダンスからエキスペリメンタルまで広く選曲するDJ。

また、Enantiomorphs(olevv×adak7)や

CONC.(olevv×adak7×YELLOWUHULU)などのB2Bユニットでも活動。

 

https://soundcloud.com/yoshihiko-nakada/adak7live-mix-katharsis-contact-tokyo

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